気と心 06

 潜在意識の中に、そういうことを思わせたり考えさせたりするような、材料をため込んでおくことがいけないんだ。材料がなけれや出て来ねェんだ。あるから出て来る。
 考えてごらん。四斗樽に水をいっぱい入れておいたら、いつのまにか、ぼうふらがわき出したとする。こればいけないっていうんで、あとから新しい水をいくら入れても、よろしいか。ぼうふらの卵をとらないかぎりは、いつまでたってもぼうふらを失くすることは出来ないんだ。それを多くの人々は気がつかない。とくにこういうことをはっきり言わなければならない学者や宗教家が、ただ、実在意識に、感激に値することや嬉しいことを聞かせておけば、あるいはものの本で読ませておきさえすれば、その人間の心の状態を強くなし得るように思っている。ところが、それでは出来ない。なぜできないかというと、コンクリートで厚く塗られている壁へ、水をぶっかけるのと同じことで、どんないいことでも、みんな、跳ね返っちまう。(中略)
 だから、何をおいても、まず、第一番に、潜在意識、すなわち心の奥の、大掃除をやらなければいけないんだよ。
 それが、観念要素の更改ということなんだよ。人の顔の異なるごとく、潜在意識の中の観念要素の状態は違っているけれども、これだけは言い得るんだ。現代人は一応は、それぞれ違った観念要素を必ず持っているけれども、そいつがみんな、消極的な事柄ばかりだ。だから、そこらでうろちょろ生きている人間どもは、どんなに学問しようが、どんなに金が出来ようが、この中を掃除しないかぎりは、何か事がありゃ、すぐ、いままでの大言壮語はどこへやら、哀れ惨憺たる状態にその心がなっちまうのであります。
 この中に、よくないものがいっぱい詰っているんだもの、ね、言われれば簡単明瞭なことが、これほどにながい間、苦心して研究した結果でないとわからなかった。わからない筈だろ。あなた方のような、俊敏隼(はやぶさ)のごとき賢明な頭脳をもっても知らなかったんだもの。考えてごらん。いままであなた方は、私の話を聞くまでは、自分自身のことをまんざら馬鹿だとは思ってなかったんだろう。ねえ、思っていないどころか、まア、仲間の中ではだいたい俺が一番悧巧だってェ顔していたんだけれどもね。私もそのお仲間の一人だった。まず、俺くらいは、と思っていた。傲慢な自惚れを持っていた。インドへ行って、ぺしゃんこにされちまった。お前なんか、形が人間であるだけで、人間らしい心はちっとも持っていない、とね。腹が立ったよ。腹が立ったけれども、ほんとうだからしようがないやね。しかし、私は決して、腹で思っていても、口ではそんなことは言いませんから、ご安心ください。私は礼儀を知っているから。とにかく、この中を取り替えましょう。

          




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